FX自動売買は、設定すればあとは放置でいいわけではありません。
- 適切な設定が必要です。
- リスク管理が必要です。
FX自動売買戦略で、ボラティリティに対応する資金管理方法として、ATR倍率法について解説します。
ATR倍率法は、ATR(Average True Range)を参考に、エントリーポイント、ストップロス幅、ポジションサイズを決定する、FX自動売買戦略の1つです。
ATR倍率法は、市場のボラティリティに対応するため、安定した収益獲得を目指せる手法として、FXトレーダーに人気です。
今回は、ATR倍率法でボラティリティに対応する資金管理方法を、ボラティリティと損切りを活用したリスク管理方法と合わせて、具体的に解説します。
- ATR(Average True Range)とは?
- ATRの意味は、真の値幅の平均を数値化しています。
- ATRとボラティリティの関係
- ATR倍率法の主要コンポーネント
- ボラティリティに対応する資金管理方法
- ボラティリティと損切りを活用したリスク管理
- 安定収益のためのATRを活用したリスク管理
- ATRの値を参考に取引量のコントロール
- ATRを活用した具体的な例
ATR(Average True Range)とは?
ATR(Average True Range)は、過去一定期間における価格の真の値幅の平均値を示すテクニカル指標です。
ATRは、市場のボラティリティ(価格変動の大きさ)を判断するための指標として、FX、株、商品先物など、様々な市場で活用されています。
ATRは、高値-安値だけでなく、前日終値との差も考慮して、価格変動幅を計算します。
ATRの値が大きいほど、価格が大きく変動しやすいことを示します。
ATRの意味は、真の値幅の平均を数値化しています。
真の値幅
ATRは、高値-安値だけでなく、前日終値との差も考慮して、価格変動幅を計算します。
真の値幅の平均
ATRは、過去一定期間(通常は14日間)の真の値幅を平均化して計算されます。
ATRの値が大きいほど、価格が大きく変動しやすいことを示します。
ATRとボラティリティの関係
ATRは、一定期間(通常14日間)の「真の値幅」の平均を示す指標です。
「真の値幅」とは、その日の高値と安値の差、前日の終値と当日の高値の差、前日の終値と当日の安値の差のうち、最大のものを指します。
この指標は、市場のボラティリティ(価格変動の激しさ)を数値化したものと言えます。
ボラティリティが高い市場の例
2022年のロシアのウクライナ侵攻時、多くの金融市場でATRが急激に上昇しました。
例えば
S&P500指数のATRは通常時の2倍以上に跳ね上がりました。
これは、地政学的リスクの高まりによって投資家のセンチメントが大きく変動し、株価の変動幅が拡大したためです。
また、米国の雇用統計発表日には、為替市場のATRが通常の1.5倍から2倍程度に上昇することがあります。
これは、経済指標の結果によって通貨の価値が大きく変動する可能性があるためです。
ボラティリティが低い市場の例
典型的には、クリスマスや年末年始の休暇シーズンにおいて、多くの市場でATRが低下します。
例えば
日経225指数のATRは、12月下旬から1月上旬にかけて通常時の半分程度まで低下することがあります。
これは、多くの投資家が休暇を取り、取引量が減少するためです。
また、長期的な景気拡大期の終盤など、市場が安定している時期にもATRは低下傾向を示します。
例えば、2017年のS&P500指数のATRは、過去10年間で最も低い水準を記録しました。
これは、経済が安定成長を続け、投資家のリスク認識が低下していたためです。
このように、ATRはボラティリティを数値化することで、市場の状況を客観的に把握するのに役立ちます。
トレーダーはこの指標を用いて、ストップロスの設定やポジションサイズの調整など、リスク管理に活用することができます。
また、ATRの変化を観察することで、市場のセンチメントの変化や、重要なイベントの影響を定量的に評価することも可能です。
ATR倍率法の主要コンポーネント
ATR倍率法は、FX自動売買戦略の一つとして広く知られており、Average True Range (ATR)を基準にしてエントリーポイント、ストップロス幅、そしてポジションサイズを決定する方法です。
この戦略は、市場のボラティリティに応じて取引パラメータを動的に調整することができるため、多くのトレーダーに支持されています。
エントリーポイントの決定
ATR倍率法では、過去一定期間(通常14日間)のATRを基準に、その倍率(N倍)を用いてエントリーポイントを決定します。
買いエントリー
現在の価格が、ATRのN倍だけ上方に位置した場合にエントリーします。
売りエントリー
現在の価格が、ATRのN倍だけ下方に位置した場合にエントリーします。
この方法により、市場のボラティリティに応じた適切なエントリーポイントを見つけることができます。
ストップロス幅の設定
ストップロス幅は、ATRのM倍として設定されます。これにより、市場の変動に合わせて適切なリスク管理が可能となります。
ポジションサイズの決定
ポジションサイズは、口座残高に対するリスク許容度(X%)に基づいて決定されます。
これにより、一定のリスク管理を維持しながら取引を行うことができます。
ATR倍率法のパラメータ
この戦略では、以下の3つの主要パラメータを使用します。
- N:エントリーポイントを決定するATRの倍率
- M:ストップロス幅を決定するATRの倍率
- X:口座残高に対するリスク許容度(%)
これらのパラメータを調整することで、トレーダーは自身のリスク許容度や市場観に合わせて戦略をカスタマイズすることができます。
具体的な例
ATRが10pipsで、N=2、M=1、X=2の場合を考えてみましょう。
エントリーポイント
買いエントリー
現在の価格がATRの2倍(20pips)上方に位置した場合
売りエントリー
現在の価格がATRの2倍(20pips)下方に位置した場合
ストップロス幅
ATRの1倍(10pips)
ポジションサイズ
口座残高の2%
この例では、市場が20pips動いた時点でエントリーし、10pipsの不利な価格変動があった場合にポジションを閉じることになります。
同時に、各取引で口座残高の2%をリスクにさらすことになります。
ATR倍率法は、市場のボラティリティに応じて自動的にパラメータを調整できる柔軟性を持っているため、様々な市場環境下で効果的に機能する可能性があります。
ただし、他の取引戦略と同様に、適切なバックテストと最適化が必要であり、市場状況の変化に応じて定期的な見直しが重要です。
ボラティリティに対応する資金管理方法
ボラティリティに対応する資金管理方法は、市場の変動性に応じて取引パラメータを動的に調整することで、リスクを管理しつつ利益機会を最大化することを目指します。
ATR倍率法はこの目的に適した戦略の一つです。
ATR倍率法では、市場のボラティリティに応じてエントリーポイント、ストップロス幅、およびポジションサイズを調整します。
ボラティリティが高い市場では、ATRの値が大きくなるため、より広いストップロス幅を設定する必要があります。
これにより、急激な価格変動による不要な損失を防ぐことができます。
例えば
ATRが15pipsの高ボラティリティ市場
N=2、M=1.5、X=2のパラメータを使用した場合、以下のように設定します。
エントリーポイント
現在の価格からATRの2倍(30pips)離れた位置
ストップロス幅
ATRの1.5倍(22.5pips)
ポジションサイズ
口座残高の2%
ボラティリティが低い市場
ATRの値が小さくなるため、ストップロス幅を狭く設定することができます。
これにより、より細かい利益獲得の機会を捉えることが可能になります。
ATRが5pipsの低ボラティリティ市場では、N=2、M=1、X=2のパラメータを使用した場合、以下のように設定します。
エントリーポイント:現在の価格からATRの2倍(10pips)離れた位置
ストップロス幅:ATRの1倍(5pips)
ポジションサイズ:口座残高の2%
この方法により、市場のボラティリティに応じて取引パラメータを自動的に調整することができ、様々な市場環境下で一貫したリスク管理が可能になります。
高ボラティリティ市場では広いストップロス幅で大きな価格変動に対応し、低ボラティリティ市場では狭いストップロス幅でより細かい利益機会を捉えることができます。
ただし、この戦略を効果的に実行するためには、市場状況の変化に応じてパラメータを定期的に見直し、最適化することが重要です。
また、他のリスク管理手法と組み合わせることで、より堅固な資金管理戦略を構築することができます。
ボラティリティと損切りを活用したリスク管理
ボラティリティの高い市場
ATRの値が大きくなります。
価格が大きく変動しやすいので、ストップロス幅を広く設定する必要があります。
ボラティリティが低い市場
ATRの値が小さくなります。
価格が安定しているため、ストップロス幅を狭く設定することができます。
ATR倍率法でボラティリティに対応する資金管理方法では、ボラティリティの大きさに合わせて、ストップロス幅を調整することが重要です。
安定収益のためのATRを活用したリスク管理
ATRは、リスク管理に役立つ強力なツールです。
適切なストップロス幅の設定
ATRの値を参考に、適切なストップロス幅を設定することで、急な価格変動による大きな損失を防ぐことができます。
例えば
ATRが10pipsの場合、ストップロス幅を10pips、または20pipsなどに設定することができます。
ボラティリティが高い市場では、ATRの値が大きくなるため、ストップロス幅も広く設定する必要があります。
逆に、ボラティリティが低い市場では、ATRの値が小さくなるため、ストップロス幅も狭く設定することができます。
ATRの値を参考に取引量のコントロール
ATRの値を参考に、取引量を調整することで、リスクをコントロールできます。
ボラティリティが高い市場では、ATRの値が大きくなるため、取引量を減らす必要があります。
逆に、ボラティリティが低い市場では、ATRの値が小さくなるため、取引量を増やすことができます。
ATRを活用した具体的な例
エントリーポイント
価格がATRの範囲を超えて大きく変動した場合、トレンドが発生する可能性があります。
ATRの値が大きい場合は、トレンド発生の可能性が高いと考えられます。
損切りポイント
ストップロス幅を、ATRの値を参考に設定することで、急な価格変動による大きな損失を防ぐことができます。
例えば
ATRが10pipsの場合、ストップロス幅を10pips、または20pipsなどに設定することができます。
通貨ペアのレート表示形式との一致
ATRの値は、通常対象となる通貨ペアと同じ小数点以下の桁数で表示されます。
これにより、ATRの値と通貨ペアのレートを直感的に比較しやすくなります。
通貨ペア | レート表示例 | ATR表示例 |
---|---|---|
EUR/USD | 1.0850 | 0.0075 |
USD/JPY | 145.30 | 0.85 |
GBP/USD | 1.2650 | 0.0090 |
AUD/USD | 0.6450 | 0.0055 |
このように、USDJPYは2桁の小数点で表示されるため、ATRも2桁で表示されます。
一方、EURUSD、GBPUSD、AUDUSDは4桁の小数点で表示されるため、ATRも4桁で表示されます。
例
USDJPYのATRが0.35の場合、これはUSDJPYが1日の間に平均0.35円の値動きをしていることを示しています。
また、EURUSDのATRが0.0012の場合、これはEURUSDが1日の間に平均0.0012ユーロの値動きをしていることを示しています。
トレード注文画面でトレーリングストップを設定
トレード注文画面で、トレーリングストップを有効化し、「レベル」に計算した値幅 (30pips) を入力
ストップロスの単位を確認
ストップロスを設定する際、入力する値がpips単位なのか、ポイント単位なのかを確認しましょう。
多くのプラットフォームでは、ポイント単位で設定することが一般的です。
pipsとポイントの換算を間違えると、意図したストップロスとは異なる値で設定してしまう可能性があります。そのため、計算ミスには十分注意しましょう。
1pipsの金額を計算
USD/JPYの主要通貨ペアの1pipsの金額 (1,000通貨取引時) は、約10円です。
常にロットサイズと通貨単位を考慮して1pipsの金額を計算する必要があります。
ロット数と損失額の関係
取引するロット数が増えると、1pipsの金額も比例して増加するため、損失額も大きくなります。
例
10,000通貨取引時の場合
1pipsの金額は約100円になります。そのため、トレーリングストップが約定した場合の損失額は3,000円になります。
そのため
ロットサイズが大きい場合は、損切りpipsを小さく設定する必要があります。
ロットサイズが小さい場合は、損切りpipsを大きく設定することができます。
ATRを2倍にしたストップロス設定例
ATRを2倍にしたストップロス設定は、ボラティリティを考慮した効果的なリスク管理手法
※市場環境やトレードスタイルに合わせて、倍率を調整する必要がある場合があります。
例
USD/JPYで買いポジションを持ち、現在の価格が140.00円で、ATRが0.49円 (49pips) の場合、ATRを2倍に設定すると、ストップロス注文は139.02円に置くことになります。
計算式
ストップロス注文 = 現在の価格 – (ATR × 倍率)
この場合
ストップロス注文 = 140.00円 – (0.49円 × 2) = 139.02円
ATRを2倍にする理由
ATR (Average True Range) は、過去の一定期間における平均的な価格変動幅を表す指標
ATRを2倍にすることで、通常の価格変動を考慮したストップロスを設定することができる。
つまり、ATRが0.49円ということは、平均的に0.49円の範囲で価格が変動していることを意味し、ATRを2倍にすることで、この変動幅の2倍、つまり0.98円の範囲まで許容するストップロスを設定することになります。
ストップロス注文を139.02円に置く意味
買いポジションの場合、価格が下落した場合に損失が発生します。
ストップロス注文を139.02円に置くことで、価格が139.02円まで下落した場合に自動的にポジションが決済され、損失を限定(損切り)することができるからです。
具体的な説明
価格が139.02円まで下落した場合
ポジションが自動的に決済され、損失を限定することができます。
USD/JPYで買いポジション
USD/JPYが上昇することを期待して、買いポジションを持ちます。
現在の価格が140.00円
現在のUSD/JPYの価格が140.00円です。
ATRが0.49円 (49pips)
過去の一定期間におけるUSD/JPYの平均的な価格変動幅が0.49円です。
ATRを2倍に設定
ATRを2倍にすることで、通常の価格変動を考慮したストップロスを設定します。
ストップロス注文は139.02円
140.00円 – (0.49円 × 2) = 139.02円となります。
ATR倍率を活用しボラティリティを考慮した利益確定方法
ATRを活用した利益確定方法は、ボラティリティを考慮した合理的な手法になります。
利益を確定するタイミングは非常に重要で「ボラティリティ」という概念を理解し、ATRという指標を活用することで、より合理的な利益確定ポイントを設定することができます。
ATRは、一定期間における価格変動の平均値を示す指標でした。
ボラティリティの高い銘柄はATRが大きく、低い銘柄はATRが小さくなります。
具体的以下の3つの値のうち最大のものを計算し、その平均をとることで算出されます。
①当日の高値と安値の差
②前日の終値と当日の高値の差
③前日の終値と当日の安値の差
ATRは、過去一定期間(一般的には14日間)の「True Range (TR)」の平均値です。
True Rangeは、以下の3つの値のうち最大のものを指します。
※一般的に、14日間ATRがよく使われます。
ATRを使った利益確定方法
ATRを活用した利益確定方法は、直近の価格変動を考慮して、利益目標を設定する手法です。
例
「ATRの2倍」を利益目標とする場合、以下のようになります。
ATRの確認
例えば、14日間ATRが100円だったとします。
利益目標の計算
ATRの2倍なので、100円 × 2 = 200円
エントリー価格への加算
買いエントリーの場合、エントリー価格に200円を加えた価格が利益確定ポイントとなります。
ATRを使った利益確定方法のメリット
機械的な判断が可能
感情に左右されず、客観的な基準で利益確定ポイントを設定できます。
ボラティリティを考慮
価格変動の激しい銘柄では利益目標を大きく、安定した銘柄では小さく設定することで、より適切な利益確定が期待できます。
柔軟な設定
ATRの倍率を変えることで、自分のリスク許容度や投資スタイルに合わせて利益目標を調整可能に
ボラティリティの状況とATRの変化
高ボラティリティ市場
高ボラティリティ市場では、ATRの値が大きくなります。
具体的な例
重要な経済指標発表前
例えば
米国の雇用統計発表前や中央銀行の金融政策決定会合前には、市場参加者の予想が分かれ、大きな価格変動が予想されるため、ATRが上昇します。
政治的不安定期
例えば
Brexit(イギリスのEU離脱)の議論が活発だった時期や、米中貿易摩擦が激化した時期には、為替市場や株式市場で大きな価格変動が見られ、ATRが上昇しました。
金融危機
2008年のリーマンショック時には、多くの金融商品で急激な価格変動が起こり、ATRが急上昇しました。
低ボラティリティ市場
低ボラティリティ市場では、ATRの値が小さくなります。
具体的な例
夏季休暇シーズン
特に8月中旬から下旬にかけて、欧米の投資家の多くが休暇を取るため、取引量が減少し、価格変動が小さくなります。この時期はATRが低下する傾向があります。
長期的な景気安定期
例えば
2010年代後半の米国経済の安定成長期には、株式市場のボラティリティが低下し、ATRも低い水準で推移しました。
ATRの実践的な活用
トレーダーはATRを以下のように活用できます。
- ポジションサイズの調整
ATRが高い時は、リスクが高いため、ポジションサイズを小さくします。
逆にATRが低い時は、ポジションサイズを大きくすることができます。 - 損切りラインの設定
例えば、現在のATRの1.5倍を損切りラインとして設定することで、市場のボラティリティに応じた適切なリスク管理が可能になります。 - トレンドの強さの判断
株価が上昇トレンドにある場合、ATRが上昇していれば、そのトレンドが強いと判断できます。
逆にATRが下降に転じたら、トレンドが弱まっている可能性があります。
このように、ATRは市場のボラティリティを数値化することで、トレーダーに具体的な判断材料を提供し、より効果的な取引戦略の立案と実行を可能にします。
ブレイクアウト活用する手法
ATRを参考に、過去の値動きから重要なレジスタンスラインやサポートラインを特定し、そのラインをブレイクアウトした際にエントリーすることで、大きな利益を狙うことができます。
ボラティリティが高まり、価格が一定のレンジを breakout (突破) した時にトレンドが発生すると考え、その勢いに乗って利益を狙う手法です。
ATRを用いてブレイクアウトの判断基準と損切りポイントを設定します。
レンジの特定
まず、チャート分析を行い、価格が一定のレンジ内で推移している期間を特定します。
レンジの上限と下限は、過去の高値と安値、またはサポートラインとレジスタンスラインなどを参考に特定できます。
ATRの設定
ATRは、一般的に14期間が用いられます。
ご自身のトレードスタイルに合わせて調整することも可能です。
チャートソフトにATRを表示し、現在の値を確認してください。
ブレイクアウトの判断
レンジの上限または下限を価格が明確に突破した時に、ブレイクアウトと判断します。
ただし、ダマシ (フェイクブレイクアウト) に注意が必要。
ダマシを回避するために、以下のポイントを考慮しましょう。
ボラティリティ
ブレイクアウト時にボラティリティが高まっていることが重要です。
ATRの値が大きくなっていることを確認しましょう。
出来高
ブレイクアウト時に出来高が増加していることも重要です。
出来高の増加は、市場参加者の関心の高まりを示唆します。
出来高は、 一定期間内に取引された通貨の量を表す指標です。
ブレイクアウトにおける出来高の重要性
ブレイクアウト時に出来高が増加していることは、そのブレイクアウトが本物である可能性が高いことを示唆します。これは、多くの市場参加者がその価格レベルを重要なポイントと認識し、積極的に取引を行っていることを意味するためです。
逆に、ブレイクアウト時に出来高が少ない場合は、ダマシ (フェイクブレイクアウト) である可能性が高く、注意が必要です。
ローソク足のパターン
ブレイクアウト時に、大きな陽線 (上昇ブレイクアウト) または陰線 (下降ブレイクアウト) が出現していることが理想的です。
エントリーポイントの決定
ブレイクアウトが確認できたら、エントリーポイントを決定します。
上昇ブレイクアウト
レンジの上限を価格が突破したことを確認し、その後の押し目 (プルバック) を待って買いエントリー
下降ブレイクアウト
レンジの下限を価格が突破したことを確認し、その後の戻り (プルバック) を待って売りエントリー
損切りポイントの設定
エントリーポイントが決まったら、ATRを用いて損切りポイントを設定します。
一般的な設定方法は以下の通りです。
上昇ブレイクアウト
エントリー価格 – (ATR × 倍率) または レンジの下限
下降ブレイクアウト
エントリー価格 + (ATR × 倍率) または レンジの上限
倍率は、一般的に1倍または2倍が用いられます。リスク許容度に応じて調整してください。
利益確定ポイントの設定
利益確定ポイントは、事前に固定値で設定する方法や、トレーリングストップを用いる方法などがあり
固定値
損切り幅の2倍、3倍など、事前に決めておく方法。
トレーリングストップ
価格が上昇するにつれて損切りポイントを引き上げていく方法。
ATRを用いて、直近の高値(上昇トレンド時)または安値(下降トレンド時)から一定のATR倍率を引いた値を損切りポイントとする方法が一般的です。
ポジション管理
エントリー後は、市場の状況を常に監視し、必要に応じて損切りポイントや利益確定ポイントを調整
具体的な例 (ドル円、買いエントリーの場合)
レンジ
138円 – 140円
ブレイクアウト価格
140.5円
ATR
7pips
ATR倍率
1倍
損切りポイント
140.5円 – (7pips × 1) = 139.8円
利益確定ポイント
損切り幅の2倍 = 1.4円 (140.5円 + 1.4円 = 141.9円) またはトレーリングストップ
メリット
大きなトレンドの発生初期にエントリーできる可能性が高い
損小利大を狙える
ATRを用いることで、ボラティリティに応じた損切り設定が可能
デメリット
ATRの設定や倍率は、最適な値を見つける必要がある
ダマシ (フェイクブレイクアウト) に騙されるリスクがある
ブレイクアウト後のトレンドが継続しない場合もある
FX_ATR と他のテクニカル指標と組み合わせて効果的に活用する方法
これらの指標を参考に、トレンドの転換点や過熱感などを判断し、損切り幅を設定可能です。
例
14期間ATRが100pipsの場合、基本的な損切り幅は100pipsとします。
チャートパターン分析の結果、直近の安値が130.00円であり、サポートラインとして機能していることがわかったとします。
テクニカル指標分析の結果、RSIが70を超えており、買われ過ぎを示唆していることがわかったとします。
これらの要素を総合的に判断し、損切り幅を130.00円に設定します。
ATRと移動平均線 (MA) の組み合わせ
活用方法
・ATRでボラティリティを把握し、MAでトレンドの方向性を確認します。
・ボラティリティが高い時にMAの方向に沿ってエントリーすることで、トレンドに乗ったトレードを期待
・ボラティリティが低い時は、MAをブレイクした際のダマシに注意が必要です。
メリット
・トレンドの把握とボラティリティの確認を同時に行えるため、エントリーポイントの精度向上に繋がる。
・ATRとMAはどちらも基本的な指標なので、初心者でも比較的理解しやすいです。
例
・20日MAが上昇トレンドを示しており、TRが上昇傾向にある場合は、買いエントリーを検討します。
ATRとボリンジャーバンド (BB) の組み合わせ
活用方法
・ATRでボラティリティを把握し、BBで価格の行き過ぎや反転の可能性を判断します。
・ボラティリティが高い時にBBの±2σや±3σにタッチした場合は、反転の可能性が高いため、逆張りエントリーを検討できます。
・ボラティリティが低い時は、BBのバンド幅が狭くなり、ブレイクアウトが発生しやすくなるため、順張りエントリーを検討できます。
メリット
・ボラティリティの変化に合わせて、順張り・逆張りどちらの戦略も選択できる柔軟性があります。
・BBのバンド幅はTRと同様にボラティリティを表すため、相場の状況をより深く理解できます。
例
・TRが大きく上昇し、価格がBBの+3σにタッチした場合は、売りエントリーを検討します。
ATRとRSI やMACD(Relative Strength Index) の組み合わせ
活用方法
TRでボラティリティを把握し、RSIで買われ過ぎ・売られ過ぎを判断します。
ボラティリティが高い時にRSIが買われ過ぎ・売られ過ぎを示した場合は、反転の可能性が高いため、逆張りエントリーを検討できます。
ボラティリティが低い時は、RSIのシグナルが鈍くなるため、注意が必要です。
メリット
ボラティリティとモメンタムを組み合わせて分析することで、より精度の高いエントリーポイントを見つけることができます。
例
TRが上昇傾向にあり、RSIが70を超えた場合は、売りエントリーを検討します。
FX_ATRにおけるダマシ(誤ったシグナル)の理解
ATRにおけるダマシの必要性
ATR自体は、売買シグナルを直接示す指標ではありません。
しかし、ATRを他の指標と組み合わせて使用する場合や、ATRに基づいて損切りラインを設定する場合などに、ダマシ(誤ったシグナル)が発生する可能性があります。
そのため、ATRにおけるダマシの理解は、適切なトレード判断を行う上で必要となります。
ATRにおけるダマシの具体例
ボラティリティの誤解釈
ATRが大きく上昇したため、ボラティリティが高まり、大きな値動きが期待できると判断し、エントリー
結果
期待に反して、価格は大きく動かず、レンジ相場が継続。
損失を被る。
解説
ATRの上昇は、必ずしも大きなトレンドが発生することを意味するわけではありません。
一時的なノイズや、レンジ相場における大きな値幅によって、ATRが上昇することもあります。
損切りラインの誤設定
ATRに基づいて損切りラインを設定したが、ボラティリティが一時的に高まり、損切りに引っかかる。
結果
損切り後に価格が反転し、利益を取り逃してしまう。
解説
ATRは過去のボラティリティに基づいて計算されるため、突発的な価格変動には対応できない場合がある
ポイント
ATRはボラティリティを測る指標だが、売買シグナルを直接示すわけではない。
ATRの上昇は、必ずしも大きなトレンド発生を意味するわけではない。
ATRに基づいて損切りラインを設定する場合、市場環境に合わせて柔軟に調整することが重要。
ATRはどの時間足でも有効?安定した利益を積む方法は?
ATRは、日足チャートだけでなく、分足、時間足、週足など、どの時間足でも有効。
ただ、時間足によってATRの値やその解釈が異なる点に注意が必要です。
時間足によるATRの違い
短い時間足 (例: 1分足, 5分足)
短期的な価格変動を反映するため、ATRの値は小さくなります。
スキャルピングやデイトレードなど、短期的な取引に適しています。
長い時間足 (例: 日足, 週足)
長期的な価格変動を反映するため、ATRの値は大きくなります。
スイングトレードや長期投資など、長期的な取引に適しています。
時間足によるATRの具体例
5分足チャートでATRが5円の場合
損切り幅をATRの1倍に設定する場合、損切り幅は5円となります。
利確幅をATRの3倍に設定する場合、利確幅は15円となります。
日足チャートでATRが100円の場合
損切り幅をATRの1倍に設定する場合、損切り幅は100円となります。
利確幅をATRの2倍に設定する場合、利確幅は200円となります。
FX_ATRに基づいた損切りラインの市場環境の変化に対応するための調整
ATRに基づいた損切りライン設定は有効な手法ですが、市場環境の変化に合わせて柔軟な調整が重要です。
ATR値の変化を観察し、倍率を調整することで、より効果的な損切りラインを設定することができます。
なぜ柔軟な調整が必要なのか?
経済指標発表、地政学リスク、ニュースなど、様々な要因によって市場のボラティリティは常に変化し、また、固定された損切りラインは機能しなくなる可能性があます。
ボラティリティが低い時に設定した損切りラインは、ボラティリティが高くなった時に頻繁にヒットしてしまう可能性があり、ボラティリティが高い時に設定した損切りラインは、ボラティリティが低くなった時に、適切な損切りができなくなる可能性があるからです。
ATRに基づいた損切りラインの具体的な調整方法
ATR値の変化を観察する
ATR値は、市場のボラティリティを反映しています。
ATR値が上昇している場合は、ボラティリティが高まっていることを示し、下降している場合は、ボラティリティが低くなっていることを示します。
ATR倍率を調整する
ATRに基づいた損切りラインは、一般的に「エントリー価格 – (ATR × 倍率)」で設定します。
この倍率を調整することで、損切りラインの位置を調整することができます。
ボラティリティが高い時 (ATR値が上昇している時)
倍率を大きくすることで、損切りラインをエントリー価格から離しノイズによる損切りを防ぐ。
ボラティリティが低い時 (ATR値が下降している時)
倍率を小さくすることで、損切りラインをエントリー価格に近づけ、損失を限定します。
例
通常時
ATRが10円、倍率が2の場合、損切りラインはエントリー価格から20円下に設定されます。
ボラティリティが高い時(ATRが上昇している時)
ATRが15円に上昇した場合、倍率を3に調整することで、損切りラインをエントリー価格から45円下に設定し、ノイズによる損切りを防ぎます。
(例)図は、「14日間の平均価格変動の大きさ=平均ボラティリティ」です。
大きな山となる部分でボラティリティが急拡大したことを示しています。
ATRを見ることによって、ボラティリティが大きくなっているのか、収束傾向なのか、価格変動がどれぐらいの大きさになっているのかを視覚的に把握可能になるのです。
ボラティリティが3倍ということは、チャンスもリスクも同時に3倍になるということです。
ボラティリティの変化に注目し、自分のリスク許容度に合わせたトレードスタイルと通貨ペアを選択することが可能になるのです。
ボラティリティが低い時
ATRが5円に下降した場合、倍率を1に調整することで、損切りラインをエントリー価格から5円下に設定し、損失を限定します。
その他の指標と組み合わせて判断する
ATRだけでなく、ボリンジャーバンドや移動平均線などの他の指標も参考に、総合的に判断することが重要です。
まとめ
ATRは、市場のボラティリティを判断し、リスク管理を行うための重要な指標です。
ATRを活用することで、適切なストップロス幅を設定し、取引量を調整することで、リスクをコントロールできます。
ボラティリティの高い市場では、ATRの値が大きくなるため、ストップロス幅を広く設定したり、取引量を減らしたりするなどのリスク管理が重要になります。
ATRを使ったトレーリングストップ設定では、ATR値だけでなく、通貨ペアのpipsの価値やロット数も考慮することで、より的確なリスク管理を行うことができます。
ATRはあくまでも過去の平均値であり、将来の値動きを保証するものではありません。
そのため、単独で使用してもボラティリティを把握するのに役立ちますが、ATR単体で損切り幅を設定するのではなく、他の要素も考慮し例えば、他のテクニカル指標と組み合わせることで、より多角的な分析が可能となり、効果的なトレード戦略を立てることができます。
ATRはどの時間足でも有効ですが、時間足によって値や意味合いが異なり、時間足とATRの関係を理解するようにしてください。
特に初心者にとっては簡単に始められますが、リスクを完全に排除することはできません。
FXのそれぞれの特徴を理解した上で、自分スタイル選びを選択してみてください。
FX自動売買 コピートレードで資産を増やしていきたいと考えている人は、勝てるコピートレードの選び方やEAの仕組みを知らなければいけません。
知識がないと負けるトレードを選んでしまい何度も資金を溶かしてしまうことになってしまうからです。
そしてMQLプログラミングをご存知ですか?MT4内でコードを書いていき記述するのですが、
このMQLプログラミングスクールを選ぶポイントをお伝えさせてください。
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