テクニカル分析において、PVT(価格と出来高の関係)とADR(平均値幅)は、価格の変動と出来高の関係、そして価格変動の大きさを分析する上で有用なツールです。
しかし、これらは一般的なインジケーターやオシレーターとは異なる特性を持っています。
本稿では、PVTとADRの特徴、そしてインジケーターやオシレーターとの違いを具体的な例を交えて解説します。
インジケーターにおいて過去の価格データから未来を予測
インジケーターとは、過去の価格データに基づいて作成されたチャート上の指標のことです。
主なインジケーター
移動平均線
過去一定期間の価格の平均値を線で表示します。
トレンドの確認やサポート・レジスタンスラインとして活用できます。
ボリンジャーバンド
移動平均線を中心としたバンドで、価格の変動幅を示します。
ボラティリティや過熱感を判断するのに役立ちます。
例
移動平均線
短期移動平均線
5日移動平均線など、短期の価格変動を反映します。
長期移動平均線
25日移動平均線など、長期の価格変動を反映します。
短期移動平均線が長期移動平均線を上抜けた場合、買いシグナルと判断できます。
短期移動平均線が長期移動平均線を下抜けた場合、売りシグナルと判断できます。
オシレーターにおいて価格の変動幅を分析
オシレーターとは、価格の変動幅や速度に基づいて作成された指標のことです。
主なオシレーター
RSI(Relative Strength Index)
価格の変動幅を基に算出され、市場の過熱感や過冷却感を判断するのに役立ちます。
ストキャスティクス
価格の過去の動きと現在の価格を比較し、市場の過熱感や過冷却感を判断するのに役立ちます。
MACD(Moving Average Convergence Divergence)
移動平均線同士の差を計算した指標で、トレンドの強弱や転換点を判断するのに役立ちます。
例
RSI
RSIが70以上の場合、市場が過熱状態にあると判断できます。
RSIが30以下の場合、市場が過冷却状態にあると判断できます。
PVT(Price Volume Trend)において、価格と出来高の密接な関係から、市場の勢いを掴む
PVT(Price Volume Trend)は、価格と出来高のトレンドを分析するテクニカル指標です。
PVTは、価格変動と出来高の関係から、市場の勢いを判断するための指標として、FX、株、商品先物など、様々な市場で活用されています。
PVTの計算方法:価格と出来高の掛け合わせで、市場の勢いを数値化!
PVTは、以下の計算式で算出されます。
PVT = 今日の終値 - 前日の終値 / 前日の終値 * 出来高
今日の終値
今日の取引の最終的な価格
前日の終値
昨日の取引の最終的な価格
出来高
今日の取引で売買された数量
PVTの値が大きいほど、価格が大きく変動していることを示します。
PVTの活用方法:価格変動と出来高の連携で、より深い分析を!
PVTは、単独で使用されることは少なく、他のテクニカル指標と組み合わせて、より深い分析を行います。
PVTと価格の連携
価格が上昇しているのに、PVTが下降している場合
価格の上昇が、出来高の減少に支えられていないことを示します。
このような場合は、価格の上昇が失速し、反落する可能性があります。
価格が下降しているのに、PVTが上昇している場合
価格の下降が、出来高の増加に支えられていることを示します。
このような場合は、価格の下降が続行する可能性があります。
PVTとボリンジャーバンドの連携
価格がボリンジャーバンドの上限に達し、PVTも上昇している場合
買いの勢いが強いことを示します。
このような場合は、価格がさらに上昇する可能性が高くなります。
価格がボリンジャーバンドの下限に達し、PVTも下降している場合
売りの勢いが強いことを示します。
このような場合は、価格がさらに下降する可能性が高くなります。
PVTの利点:モメンタムとマネーフローを同時に把握!
PVT(Price Volume Trend)指標は、モメンタムとマネーフローを同時に把握できる強力なツールとして、FX、株式、商品先物など様々な市場で活用されています。
この指標の特徴を理解することで、市場の動きをより深く洞察することができます。
PVTは価格変動と出来高を組み合わせて計算されるため、単なる価格の動き(モメンタム)だけでなく、その背後にある資金の流れ(マネーフロー)も反映します。
例えば
PVTが上昇している場合、それは価格の上昇が出来高の増加に支えられていることを示し、強い上昇トレンドであると解釈できます。
これは、買い圧力が強く、市場に資金が流入していることを意味します。
一方、PVTが下降している場合、それは価格の上昇が出来高の減少を伴っていることを示し、上昇トレンドが弱まっていると考えられます。
この状況は、買いの勢いが弱まっており、トレンドの転換点が近づいている可能性を示唆します。
PVTの実際の活用例として、株価が新高値を更新しているにもかかわらず、PVTが前回の高値を下回っているような状況があります。
これはダイバージェンスと呼ばれ、価格上昇が出来高の増加を伴っていないことを示します。
このような場合、表面上は強気に見える市場動向も、実際には上昇トレンドが弱まっている可能性があり、潜在的な反転のシグナルとして捉えることができます。
また、重要な価格レベルのブレイクアウト時にPVTも急上昇している場合、そのブレイクアウトが大量の買い注文に裏付けられていることを意味し、その動きの信頼性が高いと判断できます。
逆に、価格が下落しているがPVTの下落が鈍化している場合、売り圧力が弱まっており、市場底が近いことを示唆する可能性があります。
このように、PVTはモメンタムとマネーフローの両面から市場の動きを捉えることができるため、トレーダーはより信頼性の高い取引判断を行うことができます。
価格の動きだけでなく、その背後にある資金の流れも考慮することで、市場の真の強さや弱さを見極めることが可能となり、より洗練された取引戦略の構築に役立ちます。
ADR(Average Daily Range)のおいて価格変動の目安を掴む
ADR(Average Daily Range)は、過去一定期間における価格の変動幅の平均値を示すテクニカル指標です。
ADRは、価格変動の目安を把握するために活用されます。
ADRの計算方法:過去一定期間の価格変動幅の平均値
ADRは、以下の計算式で算出されます。
ADR = (過去一定期間における高値の合計 - 過去一定期間における安値の合計)/ 期間
過去一定期間
通常は、過去20日、過去50日など、一定期間の価格変動幅を平均化します。
高値
期間中の最高値
安値
期間中の最低値
ADRの値が大きいほど、価格が大きく変動していることを示します。
ADRの活用方法:価格変動の目安として、様々な場面で活躍!
ADRは、様々な場面で活用されます。
ボラティリティの判断
ADRの値が大きいほど、価格が大きく変動しやすいことを示します。
エントリーポイントの特定
価格がADRの範囲を超えて大きく変動した場合、トレンドが発生する可能性があります。
ストップロス幅の設定
ストップロス幅をADRの範囲を参考に設定することで、急な価格変動による大きな損失を防ぐことができます。
ADRと株価の比較:株価分析における、もう1つの視点!
ADRは、株価の変動幅の目安として、株価分析で活用されます。
株価がADRの範囲を超えて上昇した場合
株価が強気であると考えられます。
このような場合は、買いエントリーを検討できます。
株価がADRの範囲を超えて下降した場合
株価が弱気であると考えられます。
このような場合は、売りエントリーを検討できます。
株価がADRの範囲内に収まっている場合
株価が安定していると考えられます。
このような場合は、短期的なトレンドが発生する可能性は低いと考えられます。
ADRとボリンジャーバンドの違い
ボリンジャーバンドも、価格変動幅を表すテクニカル指標です。
ボリンジャーバンド
移動平均線と標準偏差に基づいて計算されます。
価格がバンドの上限を超えた場合は、反落する可能性が高く、バンドの下限を超えた場合は、反発する可能性が高くなります。
ADR
過去一定期間における価格変動幅の平均値を計算します。
価格がADRの範囲を超えた場合は、トレンドが発生する可能性があります。
ボリンジャーバンドとADRの違い
計算方法
ボリンジャーバンドは、移動平均線と標準偏差に基づいて計算されます。
ADRは、過去一定期間における価格変動幅の平均値を計算します。
用途
ボリンジャーバンドは、主に、エントリーポイントの特定、トレンドの判断、ストップロス幅の設定などに活用されます。
ADRは、主に、ボラティリティの判断、エントリーポイントの特定、ストップロス幅の設定などに活用されます。
ボリンジャーバンドとADRを組み合わせることで、より確度の高い分析を行うことができます。
ボリンジャーバンドが収縮し、ADRも小さい場合
価格が安定していることを示します。
このような場合は、トレンドが発生する可能性は低いと考えられます。
ボリンジャーバンドが拡大し、ADRも大きい場合
価格が大きく変動しやすいことを示します。
このような場合は、トレンドが発生する可能性が高く、ストップロス幅を広く設定するなどのリスク管理が重要になります。
Price Volume Trend(PVT)とVolume(出来高)について
Price Volume Trend(PVT)とVolume(出来高)について、それぞれの具体的な説明を以下にまとめます。
価格ボリュームトレンド(PVT)
PVTは、価格と出来高の関係を分析するためのテクニカル指標で、主に市場のトレンドを確認したり、売買シグナルの信頼性を評価する際に使用されます。
以下はその特徴や計算方法です。
PVTは、価格変動と出来高を組み合わせて累積的に計算される指標で、オン・バランス・ボリューム(OBV)と似ています。
ただし、OBVがその日の出来高全体を加減するのに対し、PVTは価格変動率に応じた一部だけを加減します。
計算式:PVT=( − )× +PVTのPVT=( − )× +PVTのこの式では、価格変動率が大きいほど出来高の影響が強まります。
トレンドの確認
PVTが上昇している場合は買い圧力が強く、下降している場合は売り圧力が強いことを示します。
ダイバージェンスの検出
PVTと価格の動きに乖離がある場合、トレンド反転の可能性が示唆されます(例: 価格が下落しているがPVTが上昇している場合は強気のダイバージェンス)
理論的背景
出来高は価格に先行すると考えられており、この特性を活用して市場トレンドや反転ポイントを予測することができます。
Volume(出来高)
出来高とは、特定の期間内に取引された資産の数量を指します。これは市場活動や流動性を測る重要な指標です。
出来高は、買い手と売り手間で成立した取引数量であり、市場の活発さや参加者数を反映します。
たとえば、5人が1株ずつ購入した場合も、1人が5株購入した場合も同じ出来高としてカウントされます。
出来高が多いほど市場は活発で流動性が高い状態を示します。
大幅な価格変動時には通常出来高も増加します。
政治的・経済的ニュースや要人発言など外部要因によっても影響を受けます。
市場参加者の関心度や取引意欲を測る。
トレンド確認: 高い出来高は現在の価格変動が信頼できることを示す一方で、低い出来高では信頼性が低くなる可能性があります。
PVTとVolumeの違い
項目 | 価格ボリュームトレンド(PVT) | Volume(出来高) |
---|---|---|
計算方法 | 価格変動率と出来高を基に累積計算 | 単純な取引数量 |
目的 | トレンド確認、ダイバージェンス検出 | 市場活動や流動性の把握 |
応用範囲 | テクニカル分析ツールとしてトレンド予測 | 市場全体の状況把握 |
PVTはVolumeデータを基にしてさらに価格変動率を考慮した指標であり、市場トレンドや売買圧力の詳細な分析に適しています。
Volumeそのものは市場活動量そのものを単純に示すため、より基本的な指標と言えます。
まとめ
PVTとADRは、FX取引において、価格と出来高の関係、価格変動の幅を分析するのに役立つ指標です。
PVTは、市場の勢いやトレンドの強弱を判断するのに役立ちます。
ADRは、価格変動の幅を把握し、取引戦略を策定するのに役立ちます。
PVTは、価格と出来高の両方を考慮したテクニカル指標です。
PVTを活用することで、市場の勢いを判断し、より効果的なトレード戦略を立てることができます。
PVTを他のテクニカル指標と組み合わせることで、より深い分析を行い、より確度の高い判断を下すことができます。
PVTは、FX、株、商品先物など、様々な市場で活用できる強力なツールです。
これらの指標を効果的に活用することで、より確度の高い取引判断を行うことができます。
特に初心者にとっては簡単に始められますが、リスクを完全に排除することはできません。
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