NISA(少額投資非課税制度)の「成長投資枠」を活用|金利変動を利用した国債から信用力の高い社債へ投資信託を組み入れ_信用リスク管理

債券市場

金利上昇局面では、国債よりも信用スプレッドを持つ社債を活用することで、ポートフォリオ全体の価格下落リスクを抑えながら、高い利回りを得ることが可能です。

特にNISA(少額投資非課税制度)の「成長投資枠」を活用して、社債やそれに関連する投資信託を組み入れることで、非課税のメリットを享受しつつ、効率的な資産運用が期待できます。

以下では具体的な商品例を挙げながら、この戦略について詳しく解説します。

社債と国債の違い

国債

信用リスク
信用リスクがほぼゼロ(デフォルトの可能性が極めて低い)で安全性が高いが、
金利上昇時には価格が大きく下落する。

発行体
日本政府や米国政府などの国家

例1
10年国債
特徴
最も安全性が高く、信用リスクがほぼゼロ

利回り
例えば0.5%(2025年3月時点)

例2
5年国債
特徴
中期的な運用に適した安全資産

利回り
例えば0.3%(2025年3月時点)

社債

信用リスク
発行体の財務状況に依存(国債より高いリスクだが、格付けによって異なる)

例1
トヨタファイナンス社債(1年物)

発行体
トヨタファイナンス

利回
約1.0%

信用力が高く、安定した収益が期待できる。

例2
ソフトバンクグループ社債(5年物)

発行体
ソフトバンクグループ

利回り
約2.3%

高いスプレッドによる高利回り。ただし、信用リスクがやや高い。

信用スプレッド(金利上乗せ分)があるため、金利上昇時の価格下落が緩和される。

金利上昇時の影響と信用スプレッドの役割

金利上昇時の価格下落
国債は金利変動に敏感で、金利上昇時に価格が大きく下落します。
社債は信用スプレッド(金利上乗せ分)があるため、価格下落幅が緩和されます。

信用スプレッドとは?

信用スプレッドとは、同じ満期の国債と社債の利回り差を指します。

信用スプレッドの効果

社債はこの「上乗せ分」があるため、金利上昇時にも相対的に価格が下落しにくくなります。

国債は信用リスクがほぼゼロであるため、金利変動に対して非常に敏感ですが、社債はスプレッド分でその影響を吸収できます。

金利上昇時の具体例

仮定条件
金利が0.5%上昇した場合
満期5年の国債と社債を比較

国債

金利が0.5%上昇した場合を考えてみましょう。

5年国債
利回り
0.3% → 0.8%(0.5%上昇)

債券価格
大幅に下落(低利回りであるため、金利上昇の影響を受けやすい)

トヨタ自動車社債

トヨタ自動車社債(5年物)
利回り
0.8% → 1.3%(0.5%上昇)

債券価格
下落幅は国債より小さい(信用スプレッド分で緩和)

ソフトバンクグループ社債

ソフトバンクグループ社債(5年物)
利回り
2.3% → 2.8%(0.5%上昇)

債券価格
下落幅はさらに小さい(高いスプレッドがクッションとなる)

金利変動を利用した戦略

社債への乗り換え

金利上昇局面では、以下のようにポートフォリオを調整することで影響を緩和できます。

国債から信用力の高い社債(例: トヨタ自動車社債)へ乗り換え
リスク許容度が高ければ、高スプレッドのハイイールド社債(例: ソフトバンクグループ社債)も検討

戦略のメリット

金利上昇による価格下落リスクを軽減
社債特有の高い利回りを享受

NISAで活用可能な商品例

成長投資枠で購入可能な投資信託

トヨタグループ世界債券ファンド
トヨタグループ企業が発行する社債を中心に投資。
特徴
信用力の高いトヨタグループ関連の社債で構成され、安全性と収益性のバランスが良い。

利回り
約1.5%~2.0%

ハイイールド債券ファンド
ソフトバンクグループなど高スプレッドのハイイールド社債を含む。
特徴
高い利回り(3%~5%)を狙える一方で、信用リスクも伴う。

適合する投資家
リスク許容度が高く、高リターンを目指す投資家。

注意点と対策

信用リスク管理
社債は発行体企業の経営状況に依存するため、財務状況や格付けを確認することが重要です。


トヨタファイナンスのようなAAA格付けの商品は安全性が高い。
ソフトバンクグループなどBBB格付けの商品は慎重な検討が必要。

分散投資
投資信託を活用して複数の社債や国債に分散投資することでリスクを軽減。

コスト管理
NISA口座では非課税メリットを活かせるため、手数料負担を最小化しやすい。

市場環境への対応
景気悪化時には信用スプレッドが拡大し、社債価格も大きく下落する可能性があります。
金利動向や景気状況を定期的にチェックし、ポートフォリオを見直す。

流動性リスク
国債は市場で流動性が高いため売却しやすいですが、一部の社債は流動性が低くなる可能性があり

まとめ

金利上昇局面では、国債よりも信用スプレッドを持つ社債を活用することで、ポートフォリオ全体の価格下落リスクを抑えながら、高い利回りを得ることが可能です。

特にNISAの成長投資枠では、トヨタグループ世界債券ファンドやハイイールド債券ファンドなどの商品を通じて、多様な社債への分散投資が可能です。

これにより非課税メリットを最大限活かしつつ、安全性と収益性のバランスを取った運用が期待できます。ただし、信用リスクや市場環境に注意しながら適切な商品選びと分散投資戦略を実施することが重要です。

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