企業の財務健全性を評価する上で、(借金への依存度)の分析は非常に重要です。
ここでは、財務レバレッジの主要指標とその意味、分析のポイント、成長投資枠での活用方法などを解説します。
財務レバレッジって何?
有利子負債比率、利払い負担率自己の3つの指標で評価します。
自己資本比率
有利子負債比率
借金の総資産に対する割合(低いほど良い)
利払い負担率
営業利益のうち、利息支払いに充てられる割合(低いほど良い)
自己資本比率
自己資本比率とは、企業の総資本(自己資本+負債)のうち、自己資本が占める割合を示す指標
これらの指標は、業界によって「適正値」が異なるため、同業他社との比較や過去からの推移を見ることが重要です。
なぜ財務レバレッジ分析が重要なの?
自己資本比率が高いほど、借金に頼らずに経営できているため、安定性が高いと判断できます。
成長投資枠での投資判断にも役立ちます。
財務レバレッジ分析と成長性分析を組み合わせることで、「安定性」と「成長性」を兼ね備えた企業を見つけることができます。
財務レバレッジ分析のポイントは?
業界の特性を考慮する
例
不動産業は有利子負債比率が高めでも正常な場合がある
過去からの推移を見る
例
自己資本比率が年々上昇していれば、財務体質が改善している
マクロ経済環境(金利や景気)との関連を考える。
企業の成長性(売上成長率など)も合わせて評価する。
企業はどうやって財務レバレッジを改善するの?
有利子負債の削減
借金を減らす
利益拡大による内部留保増加
利益を増やし、内部留保(会社の貯金)を増やす。
増資による自己資本増加
新株発行などにより、自己資本を増やす(ただし、既存株主の持ち分が薄まる可能性もある)。
財務レバレッジの主要指標とその意味
指標 | 計算式 | わかりやすい説明(例え話) | 目安(一般的な目安であり、業界によって異なる) |
有利子負債比率 | 有利子負債 ÷ 総資産 | 家のローン残高 ÷ 家の価値 家の価値が1億円で、ローン残高が8000万円なら、有利子負債比率は80%。 家の価値に対して借金の割合が大きいほど、返済が大変になるのと同じで、企業も借金が多いほど、経営が苦しくなる可能性があります。 | 50%以下が健全とされることが多い |
利払い負担率 | 支払利息 ÷ 営業利益 | 毎月の給料 ÷ ローン返済額 給料が50万円で、毎月のローン返済額が20万円なら、利払い負担率は40%。 給料の多くをローン返済に充てていると、自由に使えるお金が少なくなるのと同じで、企業も利益の多くを利息支払いに充てていると、成長のための投資や株主への配当が難しくなります | 10%以下が健全とされることが多い |
自己資本比率 | 自己資本 ÷ 総資産 | 家の価値のうち、自分で出したお金の割合 家の価値が1億円で、頭金として自分で3000万円出したなら、自己資本比率は30%。 自分で出したお金が多いほど、家計が安定するのと同じで、企業も自己資本が多いほど、経営が安定し、倒産しにくくなります。 | 40%以上 |
有利子負債
企業が返す必要のあるお金のうち、利息をつけて返さなければならないもの。
銀行からの借入金や、会社が発行する債券(社債)などがこれにあたります。
総資産
会社が持っているすべての財産。
現金や預金、土地や建物、機械や設備、商品など、お金に換えられるものすべてを含みます。
営業利益
会社が本業で稼いだ利益。
商品を売って得たお金(売上高)から、商品の仕入れにかかったお金(売上原価)や、お店の家賃や従業員の給料など(販売費及び一般管理費)を差し引かれたもがこれにあたります。
自己資本
会社が返す必要のないお金。
株主が出資したお金(資本金)や、会社が過去に稼いだ利益を蓄えたお金(利益剰余金)などがこれにあたります。
財務レバレッジ分析で注目すべきポイント
業界によって、ビジネスのやり方や必要なお金が大きく異なるためです。
業界ごとの特性とは?
例
製造業
工場や機械など、たくさんの設備が必要なので、お金をたくさん持っている(自己資本比率が高い)方が安心です。
例
不動産業
土地や建物を買うために、銀行からたくさんお金を借りるのが普通なので、借金の割合(有利子負債比率)が高くても、それが普通です。
例
IT・ハイテク業界
新しい技術を開発するためにお金をたくさん使うので、利益が不安定になりやすいです。
そのため、利益がどれだけ伸びているか(利益成長率)も合わせて見る必要があります。
時系列分析 :なぜ過去のデータを見るの?
会社の財務状況が良くなっているのか、悪くなっているのか、その流れ(トレンド)を見るためです。
自己資本比率が年々上昇
会社の貯金が増えているようなものなので、良い傾向です。
例
利払い負担率が増加
借金の利息の支払いがどんどん増えているので、注意が必要です。
マクロ経済環境との関連:なぜ世の中の動きを見るの?
金利や景気は、会社の経営に大きな影響を与えるためです。
金利上昇局面
借金の利息が増えるので、借金が多い会社は大変になります。
景気後退局面
商品が売れにくくなり、会社の利益が減るので、自己資本が少ない会社は倒産しやすくなります。
財務改善戦略
会社が財務レバレッジを改善する(借金への依存度を減らす)ための方法は、主に以下の3つです。
有利子負債削減
具体例
銀行からの借金を返す。
会社が発行した債券(社債)を買い戻して、借金を減らす。
使っていない土地や建物を売って、現金を作る。
利益拡大による内部留保増加
具体例
新商品を開発して、売上を増やす。
無駄な経費を削減して、利益を増やす。
儲かる事業に集中して、効率よく利益を稼ぐ。
増資による自己資本増加
具体例
新しい株を発行して、投資家からお金を集める(公募増資など)。
注意点
新しい株を発行すると、既存の株主の持ち分が薄まる(1株あたりの価値が下がる)可能性があるため、慎重に判断する必要があります。
成長投資枠で活用する際の分析方法
成長投資枠(年間240万円)で投資する会社を選ぶときも、財務レバレッジ分析は役立ちます。
スクリーニング(ふるい分け)
財務指標(有利子負債比率、自己資本比率など)を使って、ある程度安全な会社を選びます。
成長性とのバランス評価
財務の安全性だけでなく、会社の成長性(売上や利益がどれだけ伸びているか)も確認します。
「安全」で「成長」もしている会社を選ぶのが理想です。
分散投資
1つの会社に集中投資するのではなく、複数の会社に分けて投資することで、リスクを減らします。
財務が安定している会社と、成長が期待できる会社を組み合わせるのも良い方法です。
ケーススタディ:具体例
業界の自己資本比率値の全体平均
41.5%(2022年度データ)
ケース1:製造業A社
自己資本比率
45%(普通)
有利子負債比率
30%(低い)
利払い負担率
5%(低い)
評価
財務健全性が非常に良好。
中長期的な安定収益を狙って投資するのに適している。
ケース2:不動産業B社
自己資本比率
20%(低い)
有利子負債比率
70%(高い)
利払い負担率
15%(やや高い)
評価
業界の特性上、有利子負債への依存度は高い。
キャッシュフロー(現金の流れ)が安定していれば投資を検討できるが、金利上昇局面では注意が必要。
ケース3:ハイテク成長株C社
自己資本比率
35%(普通)
有利な有利な負債比率
40%(通常)
売上成長率
年平均15%(高い)
評価
財務状況は平均的だが、高い成長性が期待できる。
ポートフォリオの一部に組み入れる価値がある。
まとめ
財務レバレッジ分析は、企業の財務健全性と将来リスクを見極めるために不可欠です。
有利子負債比率や自己資本比率だけでなく、それらと成長性指標(売上成長率など)とのバランスを見ることで、より精度の高い投資判断につながります。
特に成長投資枠では、中長期的な視点から「安定」と「成長」を両立した銘柄選びを心掛けましょう。
特に成長投資枠で投資先を選ぶ際には、この指標を基準として財務的に安定した企業への投資判断につなげることができます。
それぞれの特徴を理解した上で、自分スタイル選びを選択してみてください。
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