投資信託を解約するとき、「あれ?思ったより金額が少ない…」と感じたことはありませんか?
その原因の一つに「信託財産留保額」という費用があります。
普段あまり意識することのない費用ですが、知っておかないと、損をしてしまう可能性も…。
本記事では、信託財産留保額の定義から、計算方法、目的、適用タイミング、そして、投資判断への影響までを、マネックス証券の事例を交えながら分かりやすく解説します。
信託財産留保額とは?:投資家が負担する解約コスト
信託財産留保額の定義と、その目的について解説します。
信託財産留保額の定義:解約時に差し引かれる費用
信託財産留保額とは、投資信託を解約する際に、投資家が負担する費用のことです。
ポイント
解約時に、基準価額から一定の割合で差し引かれます。
信託財産留保額は、投資信託の保有期間に関わらず、解約時に必ず発生する費用です。
信託財産留保額の目的:ファンドの安定性維持と長期保有促進
信託財産留保額は、主に以下の2つの目的のために設定されています。
ファンドの安定性維持
投資信託は、多くの投資家から集めた資金で運用されています。
急な解約が集中すると、ファンドは、資産を売却して、解約資金を捻出する必要があります。
この際、資産を売却するためのコストが発生し、ファンドの運用成績を悪化させる可能性があります。
信託財産留保額は、この資産売却コストを補填し、ファンドの安定性を維持するために利用されます。
長期保有者との公平性確保
短期的な売買を行う投資家は、ファンドの運用成績に悪影響を与える可能性があります。
信託財産留保額を設けることで、短期的な売買を抑制し、長期保有者との公平性を確保します。
信託財産留保額とは、投資信託を解約する際に投資家が負担する費用であり、ファンドの安定性維持と長期保有促進を目的としています。
信託財産留保額の計算方法:マネックス証券の具体例
信託財産留保額の計算方法を、具体的な数値を使いながら説明します。
計算式
基準価額 × 信託財産留保額(%)
信託財産留保額は、以下の計算式で算出されます。
具体例
基準価額10,000円の投資信託を100万口(100万円相当)解約した場合
前提条件
投資信託の基準価額
10,000円
解約する口数
100万口
信託財産留保額
0.3%(マネックス証券の例)
計算
信託財産留保額の計算
10,000円 × 0.3% = 30円(1万口あたり)
総額の計算
30円 × 100万口 ÷ 10,000口 = 3,000円
実際の解約代金
1,000,000円 – 3,000円 = 997,000円
今回の例では、100万円相当の投資信託を解約した場合、3,000円が信託財産留保額として差し引かれ、実際に受け取れる金額は、997,000円となります。
この3,000円は、信託財産に留保され、継続保有する投資家の利益となります。
信託財産留保額は、解約時に、基準価額から一定の割合で差し引かれる費用であり、ファンドの安定性維持と長期保有促進のために利用されます。
信託財産留保額の適用タイミング:購入時、解約時、償還時
信託財産留保額が、いつ適用されるのかを解説します。
購入時:一般的には適用されない
投資信託を購入する際には、信託財産留保額は、一般的には適用されません。
ポイント
投資信託を購入する際には、販売手数料がかかる場合があります。
販売手数料は、購入時に、一度だけかかる費用であり、信託財産留保額とは異なります。
解約時:基準価額から差し引かれる
投資信託を解約する際には、信託財産留保額が、基準価額から差し引かれます。
ポイント
解約時に、信託財産留保額が差し引かれるため、実際に受け取れる金額は、基準価額よりも少なくなります。
信託財産留保額は、解約時にのみ発生する費用です。
償還時:適用されない
投資信託が償還(満期を迎える)する際には、信託財産留保額は適用されません。
ポイント
償還時には、信託財産が、投資家に払い戻されます
償還時には、信託財産留保額は差し引かれません。
信託財産留保額は、投資信託の解約時にのみ適用される費用であり、購入時や償還時には適用されません。
ファンドによる違い:株式型、債券型、インデックス型
投資信託の種類によって、信託財産留保額が異なることについて解説します。
株式ファンド:通常0.2%〜0.3%程度
株式を投資対象とするファンドは、一般的に、信託財産留保額が、0.2%〜0.3%程度に設定されていることが多いです。
ポイント
株式市場は、価格変動が大きいため、ファンドの安定性を維持するために、信託財産留保額が設定されていると考えられます。
債券ファンド:通常0.1%〜0.2%程度
債券を投資対象とするファンドは、一般的に、信託財産留保額が、0.1%〜0.2%程度に設定されていることが多いです。
ポイント
債券市場は、株式市場に比べて、価格変動が小さいため、信託財産留保額も低く設定される傾向があります。
インデックスファンド:多くの場合、設定なし
インデックスファンドは、特定の指数(例:日経平均株価、TOPIXなど)に連動するように設計されたファンドであり、多くの場合、信託財産留保額は設定されていません。
ポイント
インデックスファンドは、運用戦略がシンプルなため、短期的な売買が少なく、解約による資金流出のリスクが低いと考えられます。
信託財産留保額がない分、解約時に、より多くの資金を受け取ることができます。
市場環境との関係:変動の激しい市場で高めに設定される傾向
市場環境が信託財産留保額に与える影響について解説します。
ボラティリティ:市場変動が激しいほど高くなる傾向
市場のボラティリティ(価格変動の幅)が激しいほど、信託財産留保額は高めに設定される傾向があります。
ポイント
ボラティリティが高い市場では、短期的な売買が活発になりやすく、ファンドの安定性が損なわれるリスクが高まります。
信託財産留保額を高めに設定することで、短期的な売買を抑制し、ファンドの安定性を維持しようとする意図があります。
ファンドの規模:大規模なファンドほど影響を受けやすい
ファンドの規模が大きいほど、信託財産留保額の影響を受けやすい傾向があります。
ポイント
大規模なファンドは、一度に大量の解約が発生した場合、ファンドの運用に大きな影響を与える可能性があります。
信託財産留保額を設けることで、大量解約による影響を緩和し、ファンドの安定的な運用を維持しようとする意図があります。
市場環境が不安定な場合や、ファンドの規模が大きい場合には、信託財産留保額が高めに設定される傾向があります。
長期投資への影響:短期売買抑制と長期保有促進
信託財産留保額が、長期投資に与える影響について解説します。
短期売買の抑制効果:頻繁な取引を抑える
信託財産留保額は、解約時に費用が発生するため、短期的な売買を抑制する効果があります。
ポイント
頻繁に売買を行うと、信託財産留保額が、何度も発生するため、コストがかさんでしまいます。
そのため、短期的な売買を目的とする投資家にとっては、信託財産留保額は、デメリットとなります。
長期保有者にとっては実質的なコスト低下
長期保有者にとっては、信託財産留保額は、解約時に一度だけ発生する費用であるため、実質的なコストは低下します。
ポイント
長期保有をすることで、信託財産留保額の影響を小さく抑えることができます。
長期的な視点で資産形成を考えている投資家にとっては、信託財産留保額は、あまり気にする必要のない費用と言えます。
信託財産留保額は、短期的な売買を抑制し、長期保有を促進する効果があります。
他の費用との比較:信託報酬、販売手数料、信託財産留保額
投資信託にかかる費用を、信託報酬、販売手数料、信託財産留保額の3つに分けて解説します。
信託報酬:継続的にかかる費用
信託報酬とは、投資信託を保有している間、継続的に発生する費用であり、ファンドの運用会社、販売会社、信託銀行に支払う手数料です。
ポイント
信託報酬は、日割りで計算され、基準価額から差し引かれます。
信託報酬は、投資信託の運用成績に、長期的に影響を与えるため、できる限り低いファンドを選ぶことが重要です。
販売手数料:購入時にかかる一時的な費用
販売手数料とは、投資信託を購入する際に、一度だけかかる手数料であり、販売会社(証券会社など)に支払います。
ポイント
販売手数料は、ファンドによって異なり、無料(ノーロード)のファンドも存在します。
販売手数料は、購入時に、一度だけかかる費用であるため、長期的な視点で見ると、信託報酬ほど大きな影響はありません。
信託財産留保額:解約時にかかる一時的な費用
信託財産留保額とは、投資信託を解約する際に、一度だけかかる費用であり、ファンドの安定性を維持するために利用されます。
ポイント
信託財産留保額は、解約時に、基準価額から差し引かれます。
信託財産留保額は、解約時にのみ発生する費用であるため、長期保有者にとっては、あまり気にする必要のない費用と言えます。
投資信託にかかる費用には、信託報酬、販売手数料、信託財産留保額の3種類があり、それぞれ、発生するタイミングや、目的が異なります。
投資判断への影響:短期的な値上がり益の目的には不向き
信託財産留保額が、投資判断に与える影響について解説します。
短期投資:手数料を考慮すると不利になる可能性
信託財産留保額は、解約時にかかる費用であるため、短期的な値上がり益を狙う投資には不向きです。
ポイント
短期的に、売買を繰り返すと、信託財産留保額が、何度も発生するため、利益を圧迫する可能性があります。
短期的な値上がり益を狙う場合は、信託財産留保額のないファンドを選ぶか、手数料が安い証券会社を利用するなど、工夫が必要です。
中長期的な投資:影響は比較的小さい
中長期的な視点で投資を行う場合は、信託財産留保額の影響は比較的小さくなります。
ポイント
長期的な視点で見ると、信託報酬などの、継続的に発生する費用の方が、信託財産留保額よりも、影響が大きくなる傾向があります。
中長期的な資産形成を目的とする場合は、信託財産留保額よりも、信託報酬の低いファンドを選ぶことをおすすめします。
信託財産留保額は、短期的な値上がり益を狙う投資には不利に働く可能性がありますが、中長期的な投資には、あまり大きな影響はありません。
税金との関係:解約時の譲渡益から控除される
信託財産留保額が、税金計算にどのように影響するかを解説します。
譲渡益:売却益から信託財産留保額を控除
投資信託を解約した場合、譲渡益(売却益)に対して、税金がかかります。
ポイント
譲渡益は、売却価格から、取得費(購入価格)と、信託財産留保額を差し引いた金額となります。
信託財産留保額は、譲渡益を計算する際に、費用として控除できるため、課税対象となる金額を減らす効果があります。
実質的な投資損益:税金計算に影響
信託財産留保額は、税金計算に影響を与えるため、実質的な投資損益にも影響を及ぼします。
ポイント
信託財産留保額は、譲渡益から控除されるため、課税対象となる金額が減少し、結果として、支払う税金の額も少なくなります。
信託財産留保額は、投資家にとっては、解約時に発生する費用ですが、税金面では、メリットがあるという側面もあります。
海外との比較:日本特有の制度
信託財産留保額という制度が、海外ではどのように扱われているかを解説します。
海外ファンド:信託財産留保額は一般的ではない
信託財産留保額は、海外の投資信託では、一般的ではない制度です。
ポイント
海外の投資信託では、解約手数料などが設定されている場合がありますが、信託財産留保額のような、解約時に、一律で費用が差し引かれる制度は、あまり一般的ではありません。
日本の投資信託:解約時のコストを意識
日本の投資信託では、信託財産留保額が設定されている場合があるため、解約時のコストを意識する必要があります。
ポイント
投資信託を選ぶ際には、信託報酬だけでなく、信託財産留保額についても確認し、総合的に判断することが重要です。
長期的な視点で投資を行う場合は、信託財産留保額の影響は小さくなります。
信託財産留保額は、日本特有の制度であり、海外の投資信託には、あまり見られない制度です。
まとめ:信託財産留保額を理解し、賢く投資信託を選ぼう
本記事の内容をまとめ、信託財産留保額を理解し、賢く投資信託を選ぶためのポイントを提示します。
重要なポイント
信託財産留保額は、投資信託を解約する際に投資家が負担する費用であり、ファンドの安定性維持と長期保有促進を目的としている。
信託財産留保額は、基準価額に、信託財産留保額(%)を掛けて算出される。
信託財産留保額は、購入時には適用されず、解約時にのみ適用される。償還時には適用されない。
信託財産留保額は、株式ファンドの方が、債券ファンドよりも高く設定されている傾向がある。
信託財産留保額は、短期的な値上がり益を狙う投資には不向きであり、長期的な投資には、あまり大きな影響を与えない。
信託財産留保額は、解約時の譲渡益から控除されるため、税金計算にも影響を与える。
信託財産留保額は、日本特有の制度であり、海外の投資信託では、あまり一般的ではない。
この記事では、投資信託の知られざるコスト、信託財産留保額について、その定義から計算方法、目的、そして、投資判断への影響までを徹底的に解説しました。
信託財産留保額は、投資家にとっては、解約時に発生する費用ではありますが、長期的な視点で見ると、ファンドの安定性を高めるというメリットもあります。
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