「会社の成長を加速させたい」
「後継者不足で悩んでいる」
「グローバルに事業を展開したい」
もしあなたが企業の経営者なら、これらの課題を一度は考えたことがあるかもしれません。
近年、多くの日本企業がこれらの課題を解決するために活用しているのが「M&A（合併買収）」です。
本記事では、過去10年間の日本企業におけるM&Aの動向を徹底分析。
国内M&Aと海外M&Aのそれぞれの特徴から、その背景にある要因、最新トレンドまでを分かりやすく解説します。
企業の成長戦略や未来を考える上で、M&Aは欠かせない選択肢となるでしょう。
ぜひ、最後までご覧ください。
国内M&Aの動向：過去10年の推移と特徴
過去10年間の日本企業における国内M&Aの動向について解説します。
M&A件数の推移：2014年から2023年までの変化
2014年から2023年にかけての日本企業のM&A件数は、全体的に増加傾向にありました。
具体的な推移
2014年
約2,000件
2019年
4,088件（過去最多を記録）
2021年
4,280件（さらに過去最多を更新）
2022年
約4,000件（2年連続で4,000件を超える）
ポイント
2019年以降は、年間4,000件を超える水準で推移しており、M&A市場が活発化していることがわかります。
国内M&Aが主流：その背景にある要因
日本企業同士のM&A（IN-IN）が、M&A全体の約80%を占めています。
ポイント
国内M&Aは、企業文化やビジネス慣習が似ているため、比較的スムーズに進みやすいと考えられます。
国内市場における競争激化や、事業規模拡大のニーズが、国内M&Aを促進していると考えられます。
具体例
2021年のM&A内訳
3,337件が国内企業同士のM&Aで、全体の80.0%を占めています。
業界別の傾向：M&Aが活発な業界は？
特にM&Aが活発な業界は、以下の通りです。
中小企業のM&A増加：後継者不足問題と事業承継
中小企業では、後継者不足を解決するために、M&Aを活用するケースが増加しています。
ポイント
少子高齢化が進む中、後継者が見つからない中小企業が増えています。
M&Aは、事業を存続させるための有効な手段として、中小企業の間で浸透しています。
事業承継補助金や優遇税制などの政府政策も、中小企業のM&Aを後押ししています。
M&A総額の変動：件数増加と規模縮小
M&A件数は増加しているものの、個々のM&A規模は小さくなる傾向にあります。
日本企業のM&A動向は、近年興味深い傾向を示しています。
2022年のM&A総額は11.4兆円を記録し、件数は増加傾向にあるものの、個々の取引規模は縮小しています。
この現象は、中小企業同士のM&Aが増加していることが主な要因と考えられます。
特に、事業承継対策としてM&Aを活用する中小企業が増えており、これが全体の件数を押し上げる一方で、取引規模の縮小につながっています。
さらに、大企業においても大型M&Aに対する慎重な姿勢が見られます。
これは、経済の不確実性や過去の大型M&Aの失敗事例を踏まえた結果かもしれません。
2023年の上半期データを見ると、M&A総額は10.8兆円と前年同期比17.2％増加していますが、この増加は主に1,000億円超の大型案件によるものです。
しかし、全体的なトレンドとしては、より小規模で戦略的なM&Aが好まれる傾向にあります。
このように、M&A市場は量的には拡大しているものの、質的には変化しています。
企業は、リスクを抑えつつ成長を図る手段として、より慎重にM&Aを活用する傾向にあります。
この傾向は、日本経済の構造変化や企業の戦略的思考の変化を反映していると言えるでしょう。
具体例
2022年のM&A総額は11.4兆円でしたが、件数が増加している一方で、小規模なM&Aが多い傾向が見られます。
ポイント
中小企業同士のM&Aが増加していることが、M&A規模の縮小につながっていると考えられます。
海外M&Aの動向：日本企業によるグローバル展開
過去10年間の日本企業における海外M&A（IN-OUT型）の動向について解説します。
海外M&A件数の推移：過去10年の変動
2014年から2023年にかけての日本企業による海外M&A件数は、全体的に増加傾向にありましたが、近年は変動が見られます。
具体的な推移
2019年：826件
2020年：557件（新型コロナウイルスの影響で減少）
2021年：625件（回復傾向）
2023年：660件（さらなる回復）
ポイント
新型コロナウイルスの影響で一時的に減少しましたが、2021年以降は回復傾向にあり、2023年には660件まで増加しています。
主要な買収先：米国、英国、アジア
日本企業による海外M&Aの主要な買収先は、米国、英国、そしてアジア地域です。
具体的な買収先
米国
2023年の660件中、220件が米国企業の買収であり、全体の約3分の1を占めています。
英国
2023年は44件で、米国に次ぐ人気となっています。物流関連や食品関連の買収が目立っています。
アジア地域
シンガポールとインドが第3位、第4位の買収先となっており、ASEAN企業とのM&Aも徐々に拡大しています。
ポイント
米国は、経済規模が大きく、技術力も高い企業が多いため、日本企業にとって魅力的な買収先となっています。
業種別の傾向：M&Aが多い業界は？
海外M&Aが活発な業界は、以下の通りです。
IT・ソフトウェア業界
製造業
食品業界
物流業界
ポイント
IT・ソフトウェア業界では、グローバルな事業展開や、最先端技術の獲得を目的に、海外M&Aが活発に行われています。
製造業や食品業界では、海外市場の開拓や、サプライチェーンの強化を目的としたM&Aが増加しています。
取引金額の変動：大型案件の有無による影響
海外M&Aの取引金額は、年によって大型案件の有無で大きく変動します。
具体例
2021年の海外M&A総額は約7兆737億円でした。
ポイント
大型案件は、M&A総額を押し上げ、市場に大きな影響を与えることがあります。
2024年上半期の動向：最新のM&Aトレンド
2024年上半期（1～6月）の海外M&A件数は118件と、前年同期比25.5%増と活発です。
ポイント
取引金額も3兆6623億円と、前年同期の1.9倍に増加しており、海外M&Aの勢いが増していることが分かります。
日本企業による海外M&Aは、全体的に増加傾向にあり、特に米国企業への買収が多く、英国やアジア地域も注目されています。2024年上半期は、特に活発な動きを見せています。
M&A増加の要因：企業の戦略と政府政策
M&Aが増加している要因について、企業側の戦略と政府の政策の両面から解説します。
事業規模拡大：成長戦略としてのM&A
企業は、M&Aを成長戦略の手段として活用しています。
ポイント
M&Aは、短期間で事業規模を拡大したり、新たな事業領域に進出したりするための効果的な手段です。
既存の事業とのシナジー効果を期待して、同業種や関連業種の企業を買収するケースも多くあります。
後継者問題の解決：事業承継としてのM&A
中小企業では、後継者不足を解決するために、M&Aを事業承継の手段として活用するケースが増加しています。
ポイント
M&Aによって、後継者が見つからない企業でも、事業を存続させ、雇用を維持することができます。
M&Aは、事業承継の選択肢として、中小企業の間で広く認知されるようになってきました。
経営立て直し：不採算部門の売却や再生
M&Aは、不採算部門の売却や、経営立て直しの手段としても活用されています。
ポイント
不採算部門を売却することで、経営資源を集中させ、本業に注力することができます。
経営危機に瀕した企業が、他の企業に買収されることで、事業再生を図るケースもあります。
政府のM&A推進政策：事業承継補助金や優遇税制
政府は、中小企業の事業承継を促進するために、M&Aを支援する政策を推進しています。
具体的な政策
事業承継補助金
M&Aにかかる費用の一部を補助する制度です。
事業承継税制
M&Aによる事業承継にかかる税金を軽減する制度です。
ポイント
これらの政府政策が、中小企業のM&Aを後押しする要因となっています。
M&Aが増加している背景には、企業側の成長戦略や事業承継ニーズ、そして政府のM&A推進政策があります。
まとめ：M&Aの重要性と今後の展望
本記事の内容をまとめ、今後のM&Aの展望について解説します。
重要なポイント
過去10年間で、日本企業のM&A件数は大幅に増加しており、特に2019年以降は、年間4,000件を超える水準で推移している。
国内M&Aが中心となっており、中小企業の事業承継対策としての需要も高まっている。
日本企業による海外M&Aも増加傾向にあり、特に米国企業への買収が多い。
M&Aは、事業規模拡大、後継者問題解決、経営立て直しなど、様々な目的で活用されている。
今後の展望
今後も、企業の成長戦略や事業継続の手段として、M&Aの重要性は高まると予想される。
グローバル展開や技術革新を目的とした海外M&Aは、さらに活発化すると考えられる。
中小企業の事業承継ニーズは、今後も高まると予想され、M&A市場はさらに拡大する可能性がある。
政府のM&A推進政策も、今後も継続される見通しで、M&Aを支援する動きはますます強まることが予想される。
M&Aは、企業成長や事業継続のために不可欠な戦略であり、今後もM&A市場は活発な動きを見せるでしょう。
この記事では、過去10年間の日本企業におけるM&Aの動向を徹底的に分析しました。
国内M&Aは、中小企業の事業承継を支え、後継者不足という深刻な課題の解決策として、ますますその重要性を増しています。
一方、海外M&Aは、日本企業のグローバル展開を加速させ、新たな技術や市場へのアクセスを可能にする力強い推進力となっています。
M&Aは、企業が成長し、変化に対応していくための戦略として、今後も欠かせない存在となるでしょう。
この記事が、M&Aの可能性を理解し、未来のビジネス戦略を描くための羅針盤となることを願っています。
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